初心者がソーシャルワークの課題とこの先について考えてみた

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みなさんこんにちは。テラド(@terashin1226)です。

twitterでHokuto Yokoyama (@hokutoyokoyama)さんが企画されたアドベントカレンダーをお見かけして、これまでの福祉業界での経験をアウトプットしたい!と思い参加させていただきました!

だってソーシャルワーカーが一堂に会してブログを書く機会なんてほとんどないじゃないですか。

アドベントカレンダーはこちら↓

Social Work Advent Calendar 2018 - Adventar
Social Workについて12月1日から25日までエントリを書くAdventar Calendarです

私は大学を卒業した2009年からシステムエンジニアとして働いていました。

ひょんなことから2013年3月から介護士として4年間働くことになります。2018年の3月から一旦システムエンジニアに復帰するものの、この2018年9月から若者の就労支援と生活困窮者支援を主業務とする相談員に転職、また福祉の世界で働き始めました。

今回はそんないろいろな業界を行き来してきた私が考えるソーシャルワークの課題とその先を考えました。

福祉業界に入った理由

私は27歳のとき、パニック障害という病気でシステムエンジニアをリタイアします。休職期間を経て、私は当時妻が働いていた介護施設(デイサービス)でアルバイトとして働き始めます。

通勤時や夜勤途中にパニック発作が起こることもありましたが、仕事を通じてだんだんと自信を取り戻すことができました。

今まで興味のなかった福祉という仕事、やってみると意外とおもしろいんです。

何より関わった方からダイレクトに反応が返ってきます。また福祉はライフステージを支える仕事です。

私は最後のライフステージでもある「死」に寄り添い、ある方は自分の施設でお看取りすることもできました。

運営会社との方針の違いがあり、その後私は介護業界を離れ生活のためにシステムエンジニアに戻ります。(介護業界はお給料低いですから…)しかし福祉業界での経験、人生の側にいて手助けする感覚とそこから得られる喜びが忘れられませんでした

就労支援員として再び福祉業界に戻ってくることとなります。

福祉業界の現状と課題

ここから主題であるソーシャルワークの課題を考えていきます。

課題解決ではなく現存の社会資源につなげるだけ

日本において何か社会的なニーズがあったときにソーシャルワーカーと呼ばれる人たちが行うことは必要な社会資源へつなげるというものです。

介護業界であれば、介護保険の受給を申請したり、ケアマネジャーが必要なサービスを介護保険事業所からピックアップします。

社会資源の活用・情報提供は重要な仕事です。ただしそれだけでは問題解決にはなりません。

行政が作った仕組みというのは、時代の変化についていけなくなっています。価値観が多様化した社会においては、既存のラインナップに利用者をあてがうという支援だけではもう耐えられなくなっています

また日本では人口減少の問題もあります。税収減が見込まれる中、行政だけに頼った事業は生き残っていけないでしょう。

福祉業界の今後やるべきこと

「できること」よりも「今、必要なこと」を見つける課題発見能力を高める

ある行政の会議に参加していたときのことです。

多機関で連携して「わたしたちのできること」と要支援者をマッチングしようというのが主題でした。そこで私には一抹の不安を覚えました。

「じゃあ「わたしたちのできること」が「困りごと」とマッチしなかったらその人は放置されるのでは…?

専門職として能力を磨くことは大事です。ただそれが組織運営のためになってしまい、社会的ニーズとずれてしまっては解決にはいたりません。

ソーシャルワークに必要なのはあくまでも社会的ニーズにこたえることであって、我々の能力を誇示したり、他社との差別化のためにあるのではないと思います。

「事業継続型」ではなく「課題解決型」への組織変革が必要

このように私は「社会的な課題」と「解決策であるはずの組織活動」が直結していないことへの強烈な違和感を感じました。

私たちは介護保険の指定事業所です。
私たちは厚労省委託の若者サポートステーションです。

こうやって行政により作りだされた仕組みは、その仕組み自体を継続するため努力を続けます

しかし、それでいいのでしょうか。

国家、地方自治体など「組織の運営」をサステイナブルにするのではなく、人間らしく活動できる社会をサステイナブルにしていくことが重要な視点だと考えています。

ソーシャルワークとは社会課題を解決することであり、ソーシャルアクションを通して実現していくべきだと思います。組織はそのための手段でしかありません。

そして、ソーシャルワーカー自身が高い能力を発揮し社会を下支えするのではなく、ソーシャルアクションによって「社会自体」を強くする仕組みを作ることが大事だと考えています。

就労支援の課題と展望

ここからは私が携わっている就労支援についてお話します。私が就労支援に携わったのは、何より「自分自身の課題」だった就労に関わる問題を解決したいという思いからでした。

新卒で入社したシステムエンジニアの仕事への違和感を抱えたまま27歳でパニック障害発症、介護業界を経験、再びシステムエンジニアに戻り、31歳で現職に就職するまでキャリアというのは大きな課題でした。また多くの人にとってもキャリアは人生の質を決める極めて大きなファクターであると気づいたのです。

言葉が適切かはわかりませんが、私にとって会社はハードルの高いゲットーのような存在で、入るのも難しいし出るのも難しい場所でした。

高度経済成長期は、みんなを高い壁で囲って均質な人員を確保することが豊かな社会のために有用でした。壁の中にいてもフィードバックが確実に得られたため、不満はなかったのでしょう。

しかし高度経済成長が終わり「ただ生産するだけでよい」自体は終わります。マズローの欲求段階説でいう「生理的」「安全」欲求から、「所属」「承認」へと人間の欲求レベルは高くなっています。ある程度社会が豊かになり多様な価値観が認められるようなると、現代の均質的な社会では対応しきれないのです。

必要なのは「サービス」ではなく「トレーニング」

ある方から聞いた話です。

電車からホームに降りたとき、目の不自由な方があるいていました。

「一緒に行きましょうか」と声をかけた瞬間

お客さまぁ~!!これは私共の仕事ですので!!!

と駅員がその方を連れていってしまったそうです。

ソーシャルワークを考える上で非常に示唆に富んだエピソードだと思います。こうやって福祉を「私以外の誰かの仕事」とすることで市民の活力を奪ってしまってはないでしょうか

介護士を含めた福祉を生業とする職種はサービスを提供する、その技術の専門性を高めることで自分たちの価値を高めてきました。しかし、それでは人口減少社会を乗り切っていけません。

超高齢化社会を迎えるにあたり必要な介護福祉士を増やすなんて物理的に不可能だと思いませんか?

では何をすればよいかというと、サービスを「消費」してもらうのではなく、技術を提供し「トレーニング」をしてもらい、社会全体の福祉力を向上させることだと考えています

福祉なんて金にならないこと、やらないだろ

そう、お金にはなりません。マネタイズ方法含め考えていかなくてはならない現状があります。

しかしさきほどお伝えしたように人間の意識は物的欲求を離れ、他者からの承認を求めています。人対人の職業である福祉職の持っていたスキルが活かせる時代がやってくると感じています。

トレーニングのスタートラインは「自己肯定感」

さて、ではどうトレーニングすればいいかという方法論に少し触れてみます。

日本の若者は自己肯定感が低いというアンケートがあります。

文科省の調査結果

でも、これは若者だけの問題なのでしょうか。自己肯定感は「私は他者から必要とされている」、つまり他者がいないと成立しません若者自身が持っている自己肯定感が「低い」のではなく、社会の若者へのリスペクトが「低い」のだと思います。

私は若者支援の中で、前職のシステムエンジニアの経験を活かし、Webページ制作の基礎知識(HTML&CSS)を教えたことがあります。その時教えた彼はWebページを作りたいがために京都旅にでかけ、私にそのページを見せてくれました。

数年間ひきこもっていた彼が、他者に認められ、「自分にも何かができると知ること」がこれだけ若者の行動力を生み出すのだと衝撃を受け、感動しました

スモールステップでよいので、まず何かのスキルを向上させること、そしてそれを社会が認め「自己肯定感」を高めていける社会が、若者の未来、そして豊かな社会を築いていける原動力になると私は信じています。

まとめ

いかがだったでしょうか。大変長くなってしまいましたが…

これまでの社会はハードルを高くして、なるべく均質な集団を作ろうという社会でした。生産能力がAIやロボティクスで肩代わりされる中、人間としての「所属」「承認」が満たせる社会を開発することが、これからより多くの人々が幸せに暮らせる世界なのだと思います。

これから若者支援、生活困窮者支援の分野で今の社会にあった支援、ニーズベースの支援を実践を通して、少しでもそんな社会の実現に役立てたらと思っております。

最後までお読みいただきありがとうございました!


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