(映画評)森崎書店の日々

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「森崎書店の日々」という映画を見ました。小説が原作の映画みたいですね。今度、小説も読んでみようと思います。

「価値とは何なのか」を考えさせられる映画でした。

あらすじ

神保町の片隅で細々と運営している森崎書店。

店主の悟(さとる)のもとに、失恋の傷を抱え、デザインの仕事をやめたばかりの姪(めい)聡子(さとこ)がやってきて、居候生活を始めた。

聡子は日中書店の店番をしながら、悟を通じて神保町の人々と知り合い、自らの居場所を見つけていく。

今まで知らなかった「本の世界=神保町」を知り「こんな世界があったんだ」と、今まで自分が考えていた世界の狭さを知っていく。

聡子は神保町での生活に居心地の良さを覚えながら、自分がその世界でただただ生かされている存在であることに、焦りを感じ始める。

「なんでこんな私に優しくしてくれるの?」

昔悟も今の聡子と同じようにある「せかい」から弾き飛ばされて途方に暮れていたが、時期同じくして誕生した聡子の存在がきっかけで、自分で頑張って居場所を見つけるための努力をすると決意したことを告白する。

淡々と生活を続けているように見えた悟が、実は自分の居場所を作るために必死で努力していたことを、聡子は知ることになる。

「いつまでも、居ていいからね」

という悟に対して「私、出て行くね。」と聡子は自立する決意を口にする。

悟は聡子にまだ値段の付いていない本を手渡す。

「聡子ちゃんが値段をつけて」

本を読み終えた聡子は、涙を流す。

値札に値段を書き込み、そっと本を閉じた。

神保町での生活を続けながら、聡子は新たな仕事を探し始めた。

値段をつけた本が、売れるか、売れないかを気にしながら…

いろんな「せかい」でできている世界

僕たちが住んでいる世界は、多種多様な「せかい」が集まって構成されている。

「本のせかい」「デザインのせかい」子供であれば「学校のせかい」に所属している。

あらゆる人々はどこかの「せかい」に属している。

ある程度成長するまでは、人は自分の属している「せかい」によって価値感を教えられ、判断基準を作っていく。

でも大人になるにつれて、悟や聡子のように、その判断基準自体に疑問を持ち始める人もいる。

このままでいいのか?

失恋がきっかけとはいえ、聡子は自分の属していたものとは別の世界があることを知る。

世界の価値を塗り替えるのは誰だ

聡子は「値段付け」が象徴するように、せかいの価値観は、既にある確実なものではなく、悟のような「せかい」の住人自身が作り出していくものであることを知る。

生きていく上であらゆる考え方や伝統を継承していくというのは大事なことだと思う。

新参者は、理不尽だとしても、その世界を受け入れるしかない。

ただ、その考え方や、伝統をただ継承するだけでなく、新たな価値観を自分というユニークな性格・経験を基に「せかい」に提供していく。

自分というフィルターを通して「せかい」の値札を貼り替えていく。

それが現代の住人のなすべき仕事だと、そんなことを感じた。

あなたの人生に値段をつけるのは誰でしょう。


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