20190830「発達障害支援の未来像」参加レポート

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みなさんこんにちは、テラド(@terashin1226)です。

2019/8/30に栂文化会館で行われたイベント「発達障害支援の未来像」に参加してきました。

「発達障害支援の未来像」は、大阪堺市で発達障害当事者の会「さかいハッタツ友の会」を主催されている石橋尋志(@ihi1484)さん関東でイイトコサガシを主催されている冠地情(@joe.kanti)さんのトークイベントです。

私自身は地域若者サポートステーションで、相談支援職として発達障害の当事者とは関わりながらも「当事者会」についてはあまり詳しく知りません。今後、何か連携できるのか、そもそもどんなことをされているのか知りたい!という思いで参加しました。

トークテーマはズルい当事者、ズレてる支援者

支援者としては、少しドキッとするフレーズですね(笑)

イベントには総勢82名の方が参加され、すごい熱量を感じました。そんなイベント「発達障害支援の未来像」の参加レポートです。

ズルい当事者

最初は「ズルい」当事者についてです。

普段、当事者同士でも言いづらいことを面と向かって言ってみようじゃないか!ということで、冠地さん中心にお話しが始まりました。

お役所仕事と言いながら、耳い痛いことは効かない当事者

支援者は「歩み寄ってくれてない」ことに対して、お役所仕事といって揶揄していることがある。

でも、一方では…

支援者が「耳に痛いこと」「地雷の部分」に対して指摘とすると怒る

こういうダブルバインドはやめようと冠地さんは言います。

支援者に勝手に期待して、勝手に恨むのはやめようよ

当事者のそんな「いいとこ取り」の面に対して石橋さんは「お好きにどうぞ」というスタンスを取られているそうです。社会にリリースして、また帰ってくるのを待つ。

相談者の困る権利を奪ってはいけない、これは私たちの組織でもよくでるワードです。

支援職としては相談に来る方のいいとこ取り=アンビバレント(どっちつかずの気持ち)な状態にも対応するスキルは持ち合わせていたいなとは思っています。

支援機関でどんな課題を相談できるのか、相談者さんが理解できていることは稀です。

なので、相談内容が整理されていないことで社会にリリースではなく、課題を整理した上で、適切な機関にリファーすることはやっていきたい。

しかし、なかなか支援方針を受け入れてくださらないときは、困る権利を奪わずに、ニーズが明確になるまで待つ、それも支援の一つだと思っています。

「社会にリリース」も、支援の形の一つ

「自分の取扱説明書」を押し付ける当事者

最近流行している「自分の取扱説明書」ですが、数ページにもわたる取扱説明書を上司に渡して「これが私です、わかってください!」

…いやいや、誰が読んでくれるんだと。

そこで、石橋さんは言います。

自分のことを受け入れてもらうんだから、相手のことをも同じように受け入れられるの?

定型発達者に対して「自分より余裕があるんだから、受け入れてくれ」と思っていないか。

さらに、冠地さんがこう付け加えます。

生きづらさが、すべてを正当化するわけではない

自己分析は、内省や自己認識とためにあるはずなのに、それを単純に「人に渡すため」に使っている当事者が多い。

また、「発達障害だから」では、発達障害を知らない人には伝わりません。発達障害に理解がある方に伝える場合でも、特性は千差万別です。

石橋さんが提唱されているのは「発達障害という言葉を使わずに、自分の特性を説明できるようになること」だそうです。

自己分析は、自分の言葉で特性を伝えられるようにするためのツール

ズレてる支援者

さて、次は「ズレてる支援者」についてです。

冠地さんがズバッと言ってくださいました。どれも「確かに、こういう人いるいる」と同時に、「あれ、自分は大丈夫かな」と思った内容でした。

答えがあると思っている支援者

答えがあると思っている支援者とは、「物が片付けられない人には、こういう支援がいい」

など、AならBというステレオタイプな支援をする支援者のことです。

「物が片付けられない」理由は人よって違い、その理由に沿ったアプローチが必要になります。

答えがあると思っている支援者は、自身の支援方法を押し付けてしまいます。当然、原因と解決法が合わないので問題は解決しませんよね。

個々のケースに向き合って、解決方法を探る方が結局は近道だと思います。

自己肯定感のために支援してる支援者

確かに、自分の力を誇示するために支援している人、いますね。

ただ、「自分の能力を誇示したい」とは思っていなくても、相談者が置き去りになってしまうケースは多々あると思います。

支援方針を立てるときに、相談者のニーズと、支援者側の「こう思っているだろう」を混同させてしまったり…

相談者を中心に据えた支援に必要なのは、実は「想い」ではなく「スキル」だと最近は思い始めています。

自分と他者の考えを分離して、考えること。こういう「情報整理スキル」がないと、意図せずとも自分勝手な支援に陥ってしまいます

自分も「発達障害っぽい」という共感できていない支援者

「自分にも発達障害っぽいところあるから、気持ちわかるよー」という支援者のことだそうです。

冠地さんはこういう内容で共感を得ることを「邪道」とお話しでした。

支援においては「共感」が大事だと言われます。

でも「自分にも発達障害っぽいところあるから、気持ちわかるよー」は、果たして共感と言えるでしょうか。心理学者であり、カウンセリングの大家であるカール・ロジャーズは共感をこう表現しています。

クライアントが自分自身の体験に関して気づいていることについて、正確な共感的理解を体験していること、である。

クライアントの私的な世界を、あたかも自分自身の私的な世界であるかのように、感じ取ること、しかし、決して「あたかも、かのように」という特質を失わないままで、そうすること-これが共感であり、そしてこれは治療に不可欠なようである。

クライアントの怒りや恐れや混乱を、あたかも自分自身のものであるかのように感じ取ること、しかも自身の怒りや恐れや混乱を、そこに混入させないようにしたままでそうすること、これが私たちが記述しようとしている条件である。

あくまでも、相談者=クライアントから得た情報をもとに、相談者が感じている世界を「あたかも自分自身の私的な世界」であるかのように想像するのが「共感」だとしています。

「自分にも発達障害っぽいところあるから、気持ちわかるよー」というのは、結局は自分の感じている世界でしかない。

これはロジャーズの定義に立つと、共感的な態度ではなく、「共感の押し付け」でしかありません。

「自分の世界=クライアントの世界」と混同している支援者は「わかるー」といいながら、自分勝手な支援をしてしまうのではないでしょうか。

当事者会の意義

自助会は居場所ではない

当事者がよりよく生きるためには「俺できてない!ってことをわかることが大事」と石橋さん。

1人ではなかなか「できてない!」という自覚を深められません。

そこで冠地さんは以下の3タイプの人と話すことが自己理解を深めるとのこと。

  • 敵対する人
  • 尊敬する人
  • 初対面の人

この3タイプを見てわかるように、自分を知るのに「友人」は入っていませんね。

石橋さんは「当事者会に友達を作りにきちゃだめよ」とお伝えされるそうです。

あくまでも自分自身への理解を深めるたり、自分の成長のために自助会を利用することが重要です。

私自身は、当事者会を「居場所」的な性質を持っている場所と認識していたので、このご意見は非常に勉強になりました。

経験を蓄積するために利用する

自助会へ参加することで自分自身へのフィードバックをもらうことに加えて、他者の成功例、失敗例を知ることでたくさんのパターンが蓄積でき、成長スピードが速まります

例えば石橋さんは「言語コミュニケーション」を信用していない、とお話しされていました。

口頭指示を受けたとき、当事者は「意味わかってないけど、わからんと言わんまま」のことがよくあると。

そこで石橋さんは「とりあえず、アホな顔をせい」とお伝えされているそうです(笑)「あ、こいつわかってないな」ということはとりあえず伝わると。

笑い話のようで、これは非常に重要な視点で「ノンバーバルコミュニケーション」を大事にしよう、ということです。

自助会のよいところは、こういった自分以外の人の知見が蓄積できることにあります。

冠地さんは、イイトコサガシは「感情の免疫力」を高める場所とお話しされていました。

「コミュ障」と言いますが、人間関係の構築は生来の得意・不得意だと思っている人が多いのではないでしょうか。多くの傷つき体験をされてきた方は特にその傾向が強いように感じます。

しかし、石橋さん冠地さんともに、いかに経験値を積むかを重要視されていました。

楽に効果を得られるものは一過性です。地力をつけるためにも、自助会を利用されてコミュニケーションの経験値を積むこと、そして他者からのフィードバックを得て自分を知ることが重要です。

これからの発達障害支援

これからの発達障害支援について、冠地さんはこうお話しされました。

当事者と支援者がすれ違うのは想定内。その中で『共創』できることがないか模索することが大切

安全地帯でズルいこと言っていても、社会は変わらない。

当事者は世間に歩み寄ってから、言いたいこと言おうぜ!

当事者、家族、支援者、みんなで一緒に成長を目指す!

私も豊中の地で、この共創を創りだしていきたい!、そう強く思った夜でした。そのためにまず「さかいハッタツ友の会」に参加させていただきたいと思います。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!


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